ポップ・シュルレアリスム宣言に寄せて
このたびヴァニラ画廊で清水真理 人形展「ポップ・シュルレアリスム宣言」展を開催する運びとなりました。
“球体関節人形”は、人形の形態として昔からありましたが、美術として日本に伝わったのは一連のシュルレアリスム運動の中で1934年にハンス・ベルメールが制作・発表した人形に端を発します。
それを澁澤龍彦氏が1960年代に日本に紹介し、四谷シモン氏や土井典氏によって広く発表されたものが日本における球体関節人形のルーツとされています。
ハンス・ベルメールが作品を発表したのは二つの世界大戦間のヨーロッパで、それまで宗教や伝統によって築かれてきた文化や秩序が科学によって破壊された時代であり、また心理学や現代哲学によって、宗教的規範からより現代的に、人間を解明する動きが出てきた時代です。
ベルメールが発表したのは20体程の人形と言われていますが、そこには大戦によって精神や肉体が破壊される中で、偶像崇拝のためでも玩具でもない、人間の肉体や精神の意味を再認識する試みと表現がありました。
その人形が発表されてからすでに80年が経過し、現代の日本という舞台で発表される人形には、また違った社会的価値や意味があるはずです。
ヨーロッパで美術や文学において90年前に生まれたシュルレアリスムという言葉を問い直してみるという試みのもと、今回「ポップ・シュルレアリスム宣言」というタイトルをつけることにしました。
私の人形を通してそれぞれのシュルレアリスム、“超現実”を再確認していただければ幸いです。
清水真理
清水真理 個展
「ポップ・シュルレアリスム宣言」
2014年1月20日[月]~2月1日[土]
◆平日 12:00~ 19:00 金曜 12:00~20:00 土曜・祝日 12:00~ 17:00
◆日曜休廊
◆入場料:500円
◆会場 : ヴァニラ画廊
◆住所 : 〒104-0061
東京都中央区銀座八丁目10番7号 東成ビル地下2F
◆TEL: 03-5568-1233
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140120a.html