個展「ポップ・シュルレアリスム宣言」に寄せて その2

私が人形を中心に表現を始めて、20年ほど経ちます。

大学時代はブラザーズ・クエイやヤン・シュヴァンクマイエルを見て人形アニメを作っていて、社会人になって会社からの独立を機に人形表現が中心になりました。
独学で人形作家を目指し、服の縫製や顔の造形などの技術を身につけていきましたが、そういったなかで作品を発表し他の人形作家さんの作品を見るにつれ、私が表現したい事は現在の創作人形の世界ではあまり表現されていない事なのではないかと思いました。

私のルーツには、中国に満州があった時代にハルピンでキャバレーを経営していた祖父、チチハルで産まれてバブル後にアルコールとギャンブル依存症で母とは離婚し現在生活保護を受けている父、その血統で児童養護施設で育った従兄弟、近親婚とトラウマで成人してから発狂した親戚、私が子供時代に次々に新興宗教に入信してはお布施を繰り返していた母がいます。


自分のルーツを語る時に、貧困層が多く大陸に依存していた天草や長崎の歴史、中国の歴史や日中関係、現代の宗教の問題、育児放棄や児童虐待について、日本のバブル後の心の病についてなど、避けられない問題があります。
人形は夢を表現する手段として、世界中に多数の優れた作家さんがいると思いますが、同じ土俵で表現することに、私は常に疎外感を感じています。
また、現代の日本で、歴史や宗教の問題では発言出来ないタブーが本当に多い事を感じます。
自分で見る映画のほとんどが歴史や戦争についての映画なのですが、自分を取り巻く問題を、どうすれば現実問題と結び付けて人形で表現出来るのか、常に悩み、考えています。
私が表現したいのは実はとても現実的な問題です。
私の人形の少女達は、親を失った子供たち
なのかも知れません。


現在の私は余りに非力ですが、架空の存在である人形と現実のファクターを結び付ける試みは、これからも試行錯誤を繰り返しながら続けて行くと思います。
今回はその意思表示の第一歩として、ポップシュルレアリスム宣言というタイトルを付けました。


ご来場下さった皆様、ありがとうございます!

明日2月1日[土]が最終日となります(最終日は17時まで)。

どうぞよろしくお願いいたします。


・2014年1月20日[月]~2月1日[土] 

ポップ・シュルレアリスム宣言(銀座・ヴァニラ画廊)

Solo Exhibition “Manifeste du pop surréalisme”

清水真理/ポップシュルレアリスム宣言

清水真理 個展

「ポップ・シュルレアリスム宣言」

2014年1月20日[月]~2月1日[土] 

◆平日 12:00~ 19:00 金曜 12:00~20:00 土曜・祝日 12:00~ 17:00

◆日曜休廊

◆入場料:500円

◆会場 : ヴァニラ画廊

◆住所 : 〒104-0061

東京都中央区銀座八丁目10番7号 東成ビル地下2F

◆TEL:  03-5568-1233 

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140120a.html