2008年9月22日[月]~9月27日[土]
◆11:00 ~ 19:00
◆会期中無休
◆会場 : 青木画廊
◆住所 : 〒104-0061
東京都中央区銀座3-5-16 島田ビル3F
◆TEL:03-3535-6858 ◆FAX:03-3567-3944
内面の物語を語る人形たち ──清水真理の創作人形
鈴木志郎康
清水真理さんから四体の人形とその細部の写真が送られて来たのを見て、わたしは驚いた。それは、これまで清水さんが創っていた様式的な可愛い女の子の人形とはまるで違う、物語を孕んだ独特の世界を持った人形だった。それも内部に世界を持つ人形として実現されている。一つ一つの人形の表情も、自らが開いて見せている内部の細部も、作者の思いが込められていて、全体で感情がみなぎっているのが感じられて、ストレートに心に訴えかけてくる。
あの清水真理さんが、現在、これらの作品を創ったと思うと、わたしは嬉しかった。学生だった頃の彼女の思いがいまようやく実現されたと思った。清水さんは1991年に多摩美の上野毛キャンパスに映像の表現を志望する学生として入学してきた。そのとき、わたしは映像を担当する教員として清水真理さんに出会った。彼女は自分で人形を作ってアニメ作品を作っていた。スケールのある考えを持って、真っ直ぐに苦しみを表現した作品だったと記憶している。そのスケールと内面が中世のカトリック教会を飾るイメージに育まれて、独特の様式を持って、繊細に人の心に届く作品として、今ここに実現されている。
人形という存在は、幼い子の友達から宗教的儀式を担うものまで、いろいろな意味を持っている。いずれにしろ、人形は人の心の最も近い所いるように思える。清水真理さんは自分に近い分身として人形を作り続けてきた。その清水真理さんがここに作ったこれらの人形は、心に近いというより、心そのもののストーリーを語ったているといえよう。写真が送られてきた四体の人形は、「庇護する者と庇護される者の関係」「酔っていられる幸福」「機械仕掛けのように動いてしまう自分」「性を越えて生きていくことの贖罪」などなどを語る存在だということだ。それは、清水真理さんが今まで生きてきた境涯で体験した苦しみを反省して、様々な思いをくぐり抜けて、昇華させたストーリーなのだ。人形は他人に手渡せる。自分の苦しみなど内部に秘めていたものを手渡せる人形に実現した。その人形たちの表情のあどけなさに、どこか、さびしさが残っているのは、真摯に生きてきた彼女の孤独が刻まれているからだと思う。ここに、清水真理は様式性の強い人形という媒体によって自己表現を実現したといえよう。
【9月22日[月] 初日オープニングパーティー】
●17:00~
『虚飾集団廻天百眼「ザ・テアトロ」』
自動人形出演:大島朋恵、紅日毬子、桜井咲黒
統率: 石井飛鳥
●18:00~
『常川博行 朗読パフォーマンス』
・ヴィルヘルム・グリム作「ミリイ 天使に出会った女の子」
・おもちゃの楽器屋さん・幹
【9月27日[土]クロージングイベント】
●14:00~
『由良瓏砂 朗読パフォーマンス』
・ミヒャエル・エンデ「鏡の中の鏡」
( ¥500 お茶菓子付き)