2011年5月30日[月]~6月11日[土]
◆平日 12:00~ 19:00 土曜12:00~ 17:00
◆日曜休廊
◆入場料:500円
◆会場 : ヴァニラ画廊
◆住所 : 東京都中央区銀座6-10-10
第2蒲田ビル4階
◆TEL: 03-5568-1233
【参加作家】
ウエノシゲユキ 河上ヨシタカ クロ 小山哲生 清水真理 田中流 林アサコ 亡月王 ミヤケ千夏 宮西計三 室井亜砂二 与偶 (五十音順・敬称略)
「美は痙攣的なもので あるにちがいない。さもなくば存在しないであろう。」
(アンドレ・ブルトン著『ナジャ』)
「美」が我々の心を鷲掴み、琴線を震わせるものだとするならば、美しさは均衡からのみ生まれ出でるものではありません。
偏り、欠落にこそ無限の美の深淵を見てとることもまた、一つの「美」の姿なのです。
そしてその深淵に、時に私達は畏怖の念を覚える程の崇高さをも見出します。
彼らの美しい姿を前にして、私達が寄り掛かっていた既存の価値観や秩序は、脆くも崩れ去ってしまうことでしょう。
その時、私達は「頌フリークス」へ額衝く者となるのです。
畸形を「聖なる徴(しるし)」として捉え表現する、異形の人々へ捧ぐ展覧会。
『畸形頌』
(ヴァニラ画報より、寄稿・室井亜砂二氏)
「…諦念は貴女の瞳に哀しみの深淵を横顔に寂しい高貴を与える。
不自由な蠢きは肉体の中で荒れ狂う切ない命の奔流だ。
かつて貴方たちは異界からの使者として敬われ憑代として神の言葉を伝えていた。
盲者は私達に見えない世界を見、聾者は我々に聞きとれない歌声を聞いている。
見世物小屋では太夫として喝采され華やかに畏怖された。
呼び込み方は昔ながらの嘘八百哀れな因果をうたいあげては観客の憐憫と恐怖をあおりたてて木戸銭をまきあげた。
貴女は一枚の大きな鏡になり、見る者は見られる者になり、見られる者は見る者になる。
「障害者」などという無礼な言葉でくくり、隔離して忘れ去ろうとしたのは誰だ。
貴方には差別される権利がある。自分たちを正常者と思い上がっている者たちを差別させることによって嗤い返す権利がある。
街に畸形者をとりもどし、混沌と畏れをよみがえらせよう。
五体満足な肉体のみを完璧な美しさと思う感性は、ギリシャ彫刻的均衡を美の規範とした偏見の名残だろう。
美は偏りから生まれる。欠落したものと過剰なものが貴女の肢体を輝かせている。
この世に均一なものなど何も無い。人はみな欠落と過剰を抱えてうつつの日々を漂っている。
畸形者とは私自身であり、この文章を読んでいるあなた自身の姿でもあるのだから。」